琵琶湖のまわりに降り注ぐ太陽光、2030年に発電能力100万kWへ

2013年01月11日 21:10

 滋賀県の再生可能エネルギーと言えば、まず思い浮かぶのが嘉田知事の存在だろう。先ごろの衆議院選挙で「卒原発」を掲げて再生可能エネルギーの拡大を訴えた姿は記憶に新しい。

図1 滋賀県の再生可能エネルギー供給量(2010年3月時点)。出典:千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所による「永続地帯2011年版報告書」

 県の中央には日本最大の琵琶湖が豊富な水をたたえる一方、県の北側には原子力発電所の集積する福井県が接する。日本で唯一稼働中の大飯発電所をはじめ福井県の原子力発電所の多くは関西電力が運営しており、その電力は滋賀県を含む近畿6府県に送られている。

 電力に関しては複雑な事情を抱えているが、再生可能エネルギーの導入量は意外に少なく、47都道府県のうち44番目である(図1)。今後は知事の掛け声だけではなくて、実現性が問われるところだ。

 すでに具体的な計画づくりは始まっている。2030年に向けて「再生可能エネルギー振興戦略プラン」を策定中で、県民からのパブリックコメントもふまえて2013年3月に完成する予定である。

図2 太陽光発電の利用可能量(住宅)。出典:滋賀県商工観光労働部

 このプランの中で最大の導入目標は太陽光発電の拡大だ。2010年の時点で5.3万kWに過ぎなかった発電規模を2017年に42.2万kWへ、2030年には101.5万kWまで増強する計画を立てている。約3分の2は住宅、残りの3分の1は非住宅を想定しており、他県と同様にメガソーラーの誘致や屋根貸しのマッチングなどを推進していく。

 琵琶湖の周辺、特に南側は太陽光発電の利用可能量が大きいことがわかっている(図2)。年間の発電量が60万kWhを超える地域が数多くあり、こうした地域を中心に太陽光発電システムを普及させることによって2030年の目標を達成する方針だ。

 メガソーラーの建設プロジェクトも続々と始まっていて、2013年に運転を開始するものだけで9か所にのぼる。その中には隣の京都府に本社を構える大手電子部品メーカーの村田製作所や京セラグループによるメガソーラーもある。

図3 湖南市の物流倉庫に建設中のメガソーラー完成イメージ。出典:甲西陸運

 9つのメガソーラーの中にはユニークな試みも見られる。琵琶湖の南にある湖南市の物流倉庫の屋根に太陽光パネルを設置するプロジェクトである。太陽光で1MW(メガワット)の発電を可能にするだけではなく、合わせて廃油を使ったバイオ燃料の精製設備も導入して、再生可能エネルギーを最大限に活用する(図3)。

 廃油を活用した取り組みでは、滋賀県が全国の先頭を切って推進してきた「菜の花エコ・プロジェクト」が有名だ。食用油の原料になる菜の花を県内の各地に栽培して、食用に使った後の廃油からバイオ燃料を精製して農耕機械などで利用する。今では全国各地に活動の輪が広がっている。

 菜の花からは燃料だけではなく、油を絞った後のカスも家畜の飼料として使う。その家畜のフンは菜の花の肥料になるほか、フンからメタンガスを生成してバイオマス発電にも利用する。菜の花を中心にした壮大なエコシステムを形成することがプロジェクトの最終的な目標だ(図4)。

図4 「菜の花エコ・プロジェクト」の全体像。出典:滋賀県琵琶湖環境部

 

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