『倹約家』による究極の大発明?ソーラー・ロードの実現

2013年01月15日 22:43

オランダ人は一般に、倹約することに長けているといわれる。無駄遣いを省き、浪費を戒めることにかけては、天才的手腕を発揮する『しまり屋』で、悪くいえば天性のケチと称され、他国民から嘲笑されることもしばしばだ。しかし彼らは、水や木などの自然資源を、やみくもに浪費することに対しても非常に敏感である。限りある自然からの恵みをむやみに無駄遣いすることも、極力避けたがるわけだ。

果たして、これも天性のケチならでは、だろうか。エコ精神に則り、未来を見据えた賢い節約を率先し、立派に実践している、ともいえるのではないだろうか?

そんなオランダで昨年末、資源節約の集大成ともいえるべき、メガ・ソーラーシステムがお目見えした。エコ関連企業と、そのお抱え科学者たちによる、「ソーラー・ロード(Sola Road)」と名づけられたプロジェクトによるもので、その名のごとく、道(ロード)のソーラー化が実現をみたのである。太陽光線を無駄にせず、効率よく上手に集めて再利用するという、これぞまさに、節約に長けたオランダの“お家芸”とも呼べるべき快挙であり、世界初の「太陽光線道路」として、他国からも注目の的となっている。

それでは、どうやって太陽光線を道に集めるのか。仕組みは以外と簡単だ。まず、太陽光線の吸収に、特に優れた特殊ガラスを開発。これに、リサイクルされた普通のガラス物質を混ぜて強化する。こうして製作された特殊ガラス物質を細かく砕き、アスファルトに混ぜ、道を作る。道で吸収された太陽熱は、スマートグリッド(次世代送電網:電力の流れを供給・需要の双方側で制御しあい、無駄なく送電する方法)により、各家庭に配電されるという仕組みだ。実験段階では、30メートルほどの太陽光線道路1本で、一般家庭の約1年分の電気代すべてがまかなえる結果が出されたというから、ちょっとした驚きだ。

現在、この太陽光線道路が敷かれているのは、オランダ西部の自転車専用道路に限られているが、今後は、老朽化した高速道路も、同じシステムを以て舗装される予定だという。プロジェクトでは現在、特殊ガラスの更なる高質化をねらっており、太陽光線が弱く、短い冬期間でも、迅速かつ最大限に太陽光を吸収する新製品を開発中だ。これが実現した暁には、オランダ全土を網羅する高速道路のほとんどが、これらの“ソーラー・ロード“に生まれ変わり、太陽の恵みが各家庭のランプを灯すことになる、と国民からの期待がかかっている。

極端なケチ揃い、と他国民から呼ばれても、ケチではなく、私たちは倹約家なのだ、と笑って受け入れる寛大なオランダ人たち。倹約を極めたからこそ実現化した、我らが太陽光線道路こそ、最も賢い資源再利用法なんだよ!と、誇らしげな彼らの高笑いが聞こえてくるようだ。

 

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