あらゆるところにソーラーがあふれる町ドイツ・フライブルク ~後編~

2013年01月25日 08:45

ソーラーを
フライブルクの地域産業に

サッカースタジアムの市民共同太陽光発電所設置プロジェクトに関わった中心人物たちは、その後、フライブルクでソーラーを産業に発展させたパイオニアたちであった。
その一人、建築家のロフル・ディッシュ氏は、「これからの家は、エネルギーを消費するだけでなく、エネルギーを生み出すべきだ」との哲学に基づき、ギリシア語で「太陽に向かう」という意味の「ヘリオトロープ」と名づけた家に住んでいる。
 
その名のとおり、太陽の向きに合わせて回転するその家は、季節によって快適に太陽の光や熱を室内に取り入れ、太陽光パネルは最も効率のよい角度で発電する。この自宅だけでなく、ディッシュ氏は市内の数々のソーラー建築を手がけてきた。中でも、エネルギー効率化と大きな太陽光発電により、消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーのほうが多い「プラスエネルギー住宅地」は、2000 年に制定された「再生可能エネルギー法」以来、生み出した電力が有利に売電できることから、大人気の物件となった。
 
 
ソーラーの匠が太陽に合わせて
回転する屋根をつくった

 また、別のメンバー、ゲオルク・サルヴァモーザー氏は、当初は太陽光発電の設計や取り付け工事を行う会社を経営していたが、当時設置していたパネルは米国製や日本製であった。そこで、国内で太陽光モジュールをできるだけ安く生産し、地域のエネルギー自治をめざそうと、1996年、「ソーラーファブリック」を設立した。同社も再生可能エネルギー法のおかげで急成長、ドイツ国内のみならず、ヨーロッパ全域やアフリカなどにも輸出し、設置プロジェクトを手がけている。
 
フライブルク市は、「地域ソーラー経済圏」構想を掲げ、ソーラー産業の成長を後押ししながら、ソーラーのあふれる街づくりを推進してきた。この街の光景は、将来の世代にもっとよい社会を残していこうと努力し続ける市民の思いの結晶なのである。
 

https://www.solarjournal.jp/6981/latter-part/