ヘリアテック、12%のセル効率で有機太陽電池技術の世界新記録を樹立し、技術リーダーシップを確立

2013年01月21日 23:19

(独ドレスデン)- (ビジネスワイヤ) -- 有機太陽光発電フィルムのリーダーであるヘリアテックは本日、有機太陽電池で新記録となる12.0%のセル効率を達成したと発表しました。ウルム大学およびドレスデン工科大学との協力によって樹立したこの世界記録は、公認の検査機関SGSによって測定されました。SGSでの測定キャンペーンは、有機太陽電池(OPV)が従来の太陽光技術と比べて微光性能と高温性能が優れていることも実証しました。

標準サイズの1.1 cm²で12.0%の新記録を樹立したセルでは、それぞれ異なる波長の光を変換する特許取得済みの吸収体材料2種類を組み合わせています。2種類の吸収体材料を使用すると光子の吸収力が強まり、高い光起電力によってエネルギー活用が改善されます。高温および微光の環境でのOPVの特性を合わせれば、この12%の効率は結晶シリコンや薄膜PVといった従来型太陽光技術での約14~15%の効率に相当します。これらの技術では温度上昇と日射低下に伴ってセル効率が大幅に低下するのに対し、有機太陽電池は、こうした状況の下で効率が上昇し、現実環境で取り込めるエネルギーが大きく増加します。

ヘリアテックのティボー・ルスギヨン最高経営責任者(CEO)は、次のように述べています。「今回重大な成果を上げたことで、当社が引き続きOPV業界をリードしていけることをうれしく思います。この継続的な前進により、2015年までに効率15%を達成し、その記録的な効率を徐々にヘリアテックのロールツーロール製造ラインに移転していくことが現実に可能となってきました。当社は太陽電池パネルではなく、太陽光発電フィルムを製造しています。建築・建設材、自動車、日よけや街路設置物などの軽構造物の業界で、当社のお客さまは環境発電のコンポーネントとしてこの太陽光発電フィルムを取り入れて、製品の機能を強化しています。」

ヘリアテック共同創設者で最高技術責任者(CTO)のマーティン・ファイファー博士は、次のように述べています。「12%という前例のないOPV効率を達成したことで、プリントポリマーではなく真空蒸着オリゴマーに取り組むというヘリアテックの選択が有効だったことが明確に示されました。この技術は過去10年間、OLEDディスプレーに使用されて成功してきました。真空蒸着によって、非常に薄いにもかかわらず均質な層を5 nm(人毛のわずか1万分の1、ヒトDNAの2倍の長さ)まで薄く作ることができます。十分に制御されているこの超薄膜プロセスでは、数多くの層を重ねて蒸着させて、タンデム接合や、さらには三重接合の太陽電池を作り、吸収できる光スペクトルの幅を広げることができます。」

OPVによる今回の効率性の世界新記録は、ヘリアテックがわずか9カ月前に樹立した10.7%の記録を更新するものです。セル効率における今回の躍進を達成するために、ヘリアテックは社内の研究開発ノウハウとOPV分野の有力大学との強いつながりを活用しました。2つの吸収体のうち1つは、ヘリアテック共同創設者のピーター・バウエル教授が所長を務めるウルム大学の有機化学IIおよび先端材料研究所で開発と合成が行われました。この協力関係には、ドレスデン工科大学の応用光物理学研究所(IAPP)のカール・レオ教授(ヘリアテック共同創設者)とモリッツ・リーデ博士も含まれています。この世界記録は、ドイツ教育研究省(BMBF-Project LOTsE #03EK3505E)、EU FP7プログラム(Project X10D #287818)、ドイツ研究振興協会(DFG Priority Program #1355)からの多大な研究開発支援によって実現しました。

低分子(オリゴマー)に基づくヘリアテックのOPV技術は、現在、商業生産に移行されています。最初の製造ラインは2012年春に稼働し、ヘリアテックの太陽光発電フィルムはすでに業界パートナーの製品開発用に提供されています。パートナーがヘリアテックの太陽光発電フィルムを環境発電コンポーネントとして組み込んだ製品の商業化は、2013年後半になる見込みです。ヘリアテックではこれと並行して、新しいロールツーロール量産ラインでスケールメリットを得るために既存および新規の投資家から6000万ユーロを調達する資金調達ラウンドを開始しました。
 

https://www.zaikei.co.jp/releases/83353/