太陽光ブームの主役は地域密着型企業
前回紹介した「かながわソーラーバンク(KSB)」プロジェクト募集の際、我々の期待に応えて独立系システムインテグレーター(SI)が何社かデビューした。
その一つが、川崎市の地域密着型販売店である株式会社イスズ(代表取締役 鈴木和彦氏)だ。1974年、公共工事の孫請けからスタートした会社だが、1990年代後半から太陽光発電に着目し、設計から施工まで手がけるようになった。
KSBに応募するに当たり、鈴木社長は大きな決断をしなければならなかった。県が提唱する「ゼロ負担」を実現するためには、大幅なコスト削減が必要であり、そのためには、パネルや付属機器類など、世界中からベストなものを選んでいくしかない。つまり、これまでのメーカー主導のビジネスとは全く逆のやり方である。しかし、現在取引のあるメーカーとの関係をどうするか。
何しろ、これまでのピラミッド構造の中では、頂点にいる大手メーカーが主役であり、販売店や工事店はその方針に従うしかなかった。ところが、これからは、販売店や工事店などがメーカーを選ぼうというのだから、軋轢が生じることは間違いない。
結局、鈴木社長は、「これしかない」とSI業の開始に踏み切ったのだが、幸い、大手メーカーとの関係を維持することにも成功した。こうして、地域密着型販売店であるイスズは、国産(長州産業製)のパネルを使いながら、1kW当たり40万円を切る安値を実現したのである。現在は、家庭用のみならず、業務用分野でも急成長しており、今後の発展に期待大である。
今、全国の多くの販売店や工事店が勇気を奮って独立の道を歩み始めている。敢えて言えば、「主従逆転」の動きが始まったということだが、本来のビジネスのあり方からすれば、「対等化」、あるいは「正常化」と称するべきであろう。
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