頭の体操:ソーラー発電売電への投資、20年後は
全量売電システムが10kW以上の発電規模で20年という長期に亘っての事業という性質から、個人住宅の屋根に設置しての事業にはならない。しかし発電事業者の設備に出資する方法で全量売電システムに参加することが出来る。その場合、投資した資金の回収も、60歳の人は80歳になって全額返還されるとなると、投資した資金の回収が年金のように返還されという仕組みに似ている感覚になる。
たとえは100万円を2%の金利で投資して、20年間の分割償還とした場合、1年後は100万円÷20年間=5万円と100万円☓2%=2万円の配当分の合計7万円が配分されることになる。それが10年後になると元本が半分になるので配当分は半分になり、6万円が配当されるという仕組みである。この場合20年間で配当分は21万円になり出資額の21%がトータルの配当となる。
すでに経産省からの情報では、1kW当たり42円の買取価格は来年度は30円台の後半になるとのメッセージが有り、今後の売電価格の減少は免れない。とはいえ発電設備のコストダウンや設備性能の向上などで、発電効率の長期の維持や10年から15年で交換が必要なパワーコンデンサーの価格低下の期待など、ランニングコストの費用低下も期待されることから、事業的にはリスクも軽減されることが想定されている。ただし、この所の円安により、輸入に依存していた資材価格の上昇や世情の不安定な貿易環境の影響から、多少の価格変動は想定されるものの、当初の設備投資の状況が確定した後は、20年間の買取が約束されていることから安全安心な投資物件といえるだろう。
さて、投資先である当該電力会社の事業運営について考えてみよう。というのも投資先が倒産でもしようものなら、その債権は紙くずになってしまう可能性を持っている。だから倒産しない会社、あるいは倒産しても心配ない仕組みに対して投資したいと思うのは当然のこと。しかも20年という長期に渡る出資は、個人の人生設計と直結するような投資という側面も持つ。だから当該電力会社と運命を共にするという覚悟も必要になる。電力会社を知り、その運営内容を確認する。それも定期的に情報を共有して安心を確認することが重要なポイントになる。
こうした相互信頼を得る為の手段として、地域の電力会社が浮かび上がる。そこに投資家が参加して地産地消の電気を作る環境整備を推進する。さらに地域でのエネルギー循環を構築して、地域が支える電力会社として運営にも協力する社会環境を生み出す。地域の電力は地域の力で生み出し、地域のエネルギー循環を支えていく仕組みを地域の住民が作り出すという、まさに『住民の使う電力を、住民の経済力により、住民が組織して生み出す』という仕組みが求められているのだと気付く時が来ているのだと思う。