憂楽帳:吉野ケ里ソーラー
2013年02月28日 06:29
佐賀県の吉野ケ里遺跡の北側で県が建設しているメガソーラー(大規模太陽光発電所)に、市民らが反対している。今月8日には建設地変更を求めて146人が住民監査請求し、認められなければ行政訴訟も辞さない構えだ。
市民らは「メガソーラーが遺跡の考古学的、文化的、景観的な価値を破壊する」と主張。さらに運営会社から得るリース料だけでは県は採算が取れず、計画に関わる契約などは違法・不当と訴えている。
取り組みは、県が計画した遺跡の工業団地化に30年来反対してきた人たちが中心。その一人、太田記代子さん(77)は94年、県の管理職でありながら街頭で反対のチラシをまいた。上司から「辞表を出せ」と言われたそうだ。
それだけ思いが強く、今回のことでも「助けてください」と悲痛な声を上げる。脱原発派の太田さんは、自然エネルギーには賛成だが「吉野ケ里は佐賀県の“床の間”。ソーラーパネルを置く所ではありません」ときっぱり。
その考えには一理あると思う。しかし県は見直す気はないらしい。工事は進み、現地にはコンクリートブロックが整然と並んでいる。【上田泰嗣】
https://mainichi.jp/opinion/news/20130225ddg041070014000c.html